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同人音楽の感想をつらつら書いています。現在は http://srn.xyz に移転しています。

無力P - Eschatology / オリジナル

Title : Eschatology
Circle : Powerless Sound
URL : http://www.nicovideo.jp/watch/sm19501976

ボーカロイドPとして名を馳せる無力Pの4thアルバム。
この作品でも歌唱部分にはボーカロイドを採用している。

無力Pの経歴などはそれこそニコニコ大百科などを見ればさわりは分かるだろうから省略するとして、最近の活動に少し触れておこう。
このEschatologyは既に一昨年の作品となっていて、これ以降無力P自身のアルバム、ないしシングル作品はリリースされていないが、去年はDiverse SystemのAD : HOUSE 2や、Barrage Am Ringシリーズ、久しぶりの活動となったType-AB(柿チョコとびびあんのユニット)の新作や、その他もろもろのボーカロイドコンピレーションなどに参加していた。
メジャー作品での活躍としては、一昨年(2012年)、KONAMI音ゲーブランド、BEMANIからSOUND VOLTEXが発表されたが、それに収録されたDJ YOSHITAKAの楽曲の『ALBIDA』のリミックスを担当していた。
他には、アニメ『BTOOOM!』の劇中曲、『エグジスト』(歌唱はナノ)の作曲を担当していたことも記憶に新しい。その後、ナノのアルバム収録曲も担当している。
少々雑多になってしまったが、まあつまりメジャー作品でも活躍している実力のあるコンポーザーである。

この作品、Eschatologyは直訳すると終末論という単語になる。
各所で言われているし、それが彼のウリであるが、無力Pの楽曲は『厨二』とよく表現される。これをポジティブと捉えるか、否定的なニュアンスで捉えるかは各々のリスニングスタイルによるが、まあ少なからず悪い意味では使われていないことが多い。
その厨二サウンドがどのようなものであるかは是非前述のサンプルムービーを視聴して確認していただきたい。驚きと昂ぶりを感じることができるだろう。

激情的なドラムスとヘヴィなギターに重なるストリングスとクワイア、そしてピアノが多用される荘厳なメロディが特徴。そして何より、テンポが速い。
2曲目、Mephistoはまさに、これが無力Pだと誰が聴いても納得する音楽だろう。ジャンルに囚われない、「無力P」というジャンルで活躍する力量をありありと感じることができる。
7曲目のExstenceはインスト曲である。サンプリングボイスの「existence」を皮切りにワブルベースが炸裂するブロステップである。便宜上ブロステップという言葉を使っているが、正確にこの音楽を表現する単語を僕は知らない。というか、多分ないだろうと思う。
その次の8曲目、EpimetheusはIAを使用した曲で、初出はIA/01 -BIRTH-である。
話は逸れるがIA/01は有名コンポーザーが集結した豪華な作品である。あまり高速曲に寄った作品ではないのでEpimetheusほどのBPMを欲するリスナーには強く薦められないが、低速ボカロ曲も聴く、という方は手にとって見るのもいいだろう。
11曲目のAnother EdeNは〆にふさわしい、叙情的で淑やかな、透明度の高いインスト曲。それまでの雰囲気とは一変した、新しい世界を表現するラストトラックに仕上がっている。

ボーカロイドという新しい時代、新しい器楽の時代にこれ以上ないほど的確なディレクションを見せる作品である。
上述のように、このEschatologyから彼個人のアルバムのリリースは止まっている。次の作品が待ち遠しいアーティストの1人だ。